Ebeya Works Storytelling team 稼働

―企業の力、企業の魅力とは何か?

以前、世界各所に拠点を持つグローバル企業の社長にインタビューをしたことがある。その目的は、中期経営計画を社員に“自分ごと”として理解してもらうための特集企画だった。

社長自身の言葉で、経営計画への思いを語ってもらい、
それを社員一人ひとりの仕事や未来につなげていく。
そんな意図で進めた企画だった。

社長の説明は実に明快だった。
イノベーション、人的資本経営、DX、働き方改革、SDGs。
革新的な組織改革やシステム導入、人材投資、社会貢献。
どれも時代の要請に応える、正しく、洗練された経営の言葉だった。

その記事を読んだ社員たちは、きっと納得し、理解し、
そして安心しただろうと思う。
「会社はちゃんと未来を考えている」と。

取材後、記事のお礼も兼ねて社長と再びお会いする機会があった。
そのとき、ふと、こんな話をしてくれた。


「俺がまだ主任くらいだった頃、先輩にこう言われたんだ。

お前は現場で不器用で、仕事も遅い。
上司や客にうまいことも言えない。
相手が誰であっても、譲らないところがあってヒヤヒヤする。
正直、生意気で、扱いにくくて、腹が立つ存在だ、と。

でもな――

もしこの先、お前が偉くなるとしたら、
それは“そういうところ”が評価されるからだ。

もし偉くなれないのなら
今のお前が偽物なのか
ただ薄っぺらいやつだからだ」

そう言われたんだ、と。

そして、社長は少し恥ずかしそうに笑いながら言った。
「偉くなれた今、俺はあの人に言いたいね。
“俺、本物だっただろ”って。」


「もちろん、こんな話は記事には書けないけどね」と前置きしながら、
社長は続けた。

「うちは、ものづくりの会社だ。
無骨なまでに製品に誠実で、
いいものを作るためには、絶対に譲らない。

時代遅れかもしれない。
でも、それがこの会社の姿なんだ。
そして、俺はその象徴だと思っている。

時代に合わないと言われて、
降ろされるかもしれないし、株主に叩かれるかもしれない。
だから、時代に合った言葉も言わなきゃいけない。

でもねぇ、そうすると、あの先輩が頭に出てくるんだよ。
『お前、そんなこと言ったら偽物になるぞ』って。だから、下手くそだけど言ったことやらないとね」


地方から出てきて、寮で暮らし、現場で汗を流していたかつての自分。
若い現場の社員こそが会社の主役。
そう思って現場を回るのだと。
時代とともに制度や環境は変わっていく。
けれど、一人ひとりの社員が主役であるということ。
そこにこそ、この会社の真髄がある。

どんな企業にも、
どんな人にも、
語られるべき物語がある。

数字や制度や戦略の奥にある、
その企業が「何を大切にしてきたのか」という物語。

私たちエベヤワークスは、
その物語を掘り起こし、
企業が未来へ進むためのエンジンにしていきたいと考えています。


エベヤワークス:ストーリーテリングチーム